あなたのマンション大丈夫(1)/週刊現代9・16

建て替えの「天国」と「地獄」

四谷コーポラスの場合

 日本で初めての民間分譲マンション「四谷コーポラス」をご存じだろうか。56年に売り出され、築年数は60年を超える。

 なぜ「困難」とされる建て替えを実現できたのか。

 「住民の方々の管理組合の総会への参加率が総じて高く、建て替えに対する当事者意識が強い。しかも、長年にわたってコミュニティが形成されており、組合の理事長、理事らへの信頼も非常に篤い。そのおかげだと思います」と言うのは、建て替えに関わった旭化成不動産レジデンス開発営業本部の花房奈々氏である。花房氏が建て替え決議までの経緯を振り返る。「直接のきっかけは、13年に耐震構造診断を行ったことです。補強工事に必要な費用を試算する中で、マンションの再生検討委員会が発足し、建て替えが選択肢として浮上してきました。

 現在、日本には600万戸以上のマンションがあり、築30年超の物件は100万戸を超えている。これから5年もすれば、建て替えの問題に直面する物件が激増することが必至だ。ところが、これまで建て替えに成功した事例はわずか200件超。住民の5分の4以上の賛成が必要であるという条件が重くのしかかり、ほとんどの物件は建て替えをできていない。

 建て替えに成功すれば住環境は大幅に改善する。後述する通り、うまくいけば建て替え費用すらかからない。一方、建て替えに至らない場合は悲惨だ。古い設備とボロボロの環境に修繕費も追いつかず、最悪の場合スラム化したマンションで生活せざるを得ない。いまマンションに住んでいる人は、どんなに関係ないと思っていても、建て替えの成否によって、「天国行き」と「地獄行き」に分かれることになる。

 では、建て替えに成功するのはどんな物件か。

2017年9月15日 | カテゴリー 建替え