いつかやってくる建替えのために(2)/マン管通信2016・2

【トラブルとして多いもの】

 建替え手続に関する訴訟として多いのは建替え承認決議の無効を争うもので、マンション建替法を利用した場合には、建替組合として認可した行政処分を争うことになります。

 築後相当年数を経過しているマンションでは、相続が発生して区分所有権が相続人の共有状態にあることもあります(なおかつ登記に反映していないことが多いようです)。この場合、誰が権利行使できるかがポイントとなります。

 議決権行使の適正さのほかに、建替え承認決議に提出された議題の内容についても適切であったかどうかが争点となります。

 建替え承認決議の段階では、いまだ建替え後のマンション(再建建物)の細かい内容までは決まっていません。

 しかし、あまりアバウトな内容では建替えをすべきか否か(改修工事で対応すべきか。)の判断ができないものとなり、このような決議は区分所有者の適切な判断ができないので無効となります。

 そのため、多くの建替えのケースではいきなり建替え承認決議をするのではなく、建替え推進決議または建替え準備委員会設立決議などの準備段階での意思確認をする決議を行うケースが多く、突然建替えの話をしても区分所有者は問題意識を持てないので徐々に手続を進めて行くのが一般的です。

 その一方で、大規模な瑕疵が発覚したケースや耐震性能が著しく低いことが判明したケースにおいては、スピードアップして手続が行われます。

【今後の建替えについて】

 平成25年12月のマンション建替法の改正により、耐震性能の低いマンションを対象とする敷地売却制度ができました。

 耐震診断により耐震性が低いと認定されたマンションをディベロッパー等に売却して、建替えされたマンションに入居するものです。旧耐震基準のマンションの多くが対象となるでしょう。

 今後、建替え需要が高まる中で、マンションの管理の一環として建替えを視野に入れた検討が行われることになると思います。

 今後、建替え事例が増加することで、建替え自体がより身近なものとなり、関心が高まると思います。

                           (著)京橋法律事務所 弁護士 犬塚 浩

2016年3月09日 | カテゴリー 建替え