いつかやってくる建替えのために(1)/マン管通信2016・2

【最近の建替え事情】

 マンションストック総数は約613万戸(平成26年末現在)であり、そのうち旧耐震基準のマンションは約106万戸、築後40年超のマンションは51万戸、10年後には151万戸、20年後には296万戸となる見込みであるといわれています(国土交通省資料)。

 これに対して、マンションの建替えの実績は累計で211件(約1万6,600戸:平成27年4月)にすぎず、建替えは必ずしも活発に行われている訳ではなく、そのノウハウの蓄積は必ずしも十分ではありません。

 その一方で、昨年発生した免震装置ゴム不正問題や杭データ偽装問題など、建物そのものの欠陥の判明に端を発した、建替えがクローズアップされてきました。

 すなわち、構造上の問題を抱えながら補修工事が極めて困難である、または、補修工事費用が建替え費用を上回るケースにおける建替えに対する関心が深まってきたのです。

【建替えの流れ】

 ご承知のとおり、マンション建替えに関する法律としては区分所有法およびマンション建替法があります。

 これらの法律に規定がない事項については民法の共有物に関する規定によって判断されることになります。

 区分所有法上のマンション建替え承認決議は「区分所有者および議決権の5分の4以上の決議」が要件となっていますが、建替え物件の中にはこの規定によらないで全員合意(等価交換といいます)で実施しているケースが多くあります。

 等価交換による建替えを実施された関係者にお話を聞きましたところ、「結局このやり方が一番スムーズに進む」とのご意見でした。

 世帯数の少ないところでは反対者の存在を前提とする建替え承認決議で進めるよりも、全員合意で進めた方が良いケースもあるようです。

 マンション建替法の実例が増えることで、今後「区分所有法の建替え承認決議→マンション建替法の利用」による建替えが多くなってくることは明らかです。

                             (著)京橋法律事務所 弁護士 犬塚 浩

2016年3月07日 | カテゴリー 建替え