エレベーター死亡事故/消費者事故調8・30

管理組合への周知と責務

 東京都で2006年6月に高校生が死亡したシンドラー社製エレベーター事故で、消費者庁の消費者安全調査委員会(消費者事故調)は30日、最終報告書をまとめた。

 事故後に国土交通省が打ち出した安全対策のうち、ドアが開いたまま昇降するのを防ぐ「戸開走行保護装置」の設置促進を不十分と認定し、またエレベーターの所有者と管理者が点検マニュアルを共有する仕組みも整備されていないことを指摘し、国交省に改善を求めた。

 マンションの場合、エレベーターの所有者は区分所有者全員(管理組合)であり、管理者は役員全員(理事会)です。

 消費者事故調報告書では、所有者・管理者向けの再発防止策が以下の通り、指摘されています。

再発防止策/所有者・管理者への働き掛け

 エレベーターの保守管理も所有者・管理者の義務であることを所有者・管理者が認識し、エレベーターの安全対策への理解を深め、エレベーターの維持管理に主体的に関わるべく働き掛けを行うべきである。

・既設のエレベーターへの戸開走行保護装置の設置は、所有者・管理者を含む利用者に不便を強いること、

 所有者に経済的負担を強いることなど、目に見える不利益が生じ、困難を伴うものであるものの、万が一

 事故が起こった場合には、当該所有者・管理者ではなく、一般の利用者が重篤な被害を受ける可能性が

 ある。

 したがって、戸開走行保護装置の設置は、エレベータの安全性を確保するために、所有者・管理者が責任

 を持って対処すべきである。

・適切な保護管理業務が遂行されるよう、保守点検マニュアルや不具合に関する情報を取得・保存し、これら

 を保守管理業者に渡すことは、所有者・管理者が確実に行うべきことである。

・所有者・管理者の役割について、所有者・管理者自身が自らの義務であるという認識をもち、エレベーター

 の安全性の確保に主体的に関わっていくことを促すよう、所有者・管理者への働き掛けがなされるべきで

 ある。

(岡管連から)

 所有者(区分所有者全員で構成する管理組合)・管理者(役員で構成する理事会)の責務は、今回のエレベーター事故に限らない。機械式駐車場における誤操作や、子どもが機械式駐車場内に入り、死亡事故につながった例もある。

 それまで事故の危険性や、その予兆を感じて、または知りながら漫然、怠慢な管理を行っていたならば、管理組合(理事会)の責任が問われよう。

 エレベーターや機械式駐車場にしろ設備関係の共用部分等については、標準管理規約第21条(敷地及び共用部分等の管理)第1項では、「敷地及び共用部分等の管理については、管理組合がその責任と負担においてこれを行うものとする。」と、また建築基準法では、建物の維持保全は所有者・管理者の義務となっており、エレベータの保守管理も所有者・管理者の義務となっていると。

 前回の共用部分等での自殺事件でもお伝えしましたが、この7月、標準管理委託契約書が改正されたことを受けて、このような共有部分等での事件等が起きれば、管理業者は、宅建業者から事故・事件等の有無を求められたときは、当該事故・事件等の内容等を知らしめることが出てくるだろう。

2016年9月03日 | カテゴリー 事故防止