総合調査からみえる課題と展望/マン管通信8月号より

【これからのマンション管理】

明海大学不動産学部教授 齋藤 広子先生

―平成25年度マンション総合調査検討委員会委員長―

 今回の調査結果から以下の課題が見えてきました。

1 スペース再生マネジメント

 築約25年を経過したマンションの半分以上で老朽化対応を検討しています。老朽化は突然来るものではありません。それに対応できる体制がないことが問題です。ゆえに、老朽化対応として計画的に再生を実施するためのマネジメント体制構築が必要です。これは物理的な空間(スペース)の現状維持型の管理を前提とした管理体制から、変化を前提にしたマネジメント体制への変更を示唆し、内部の合意形成を取るための新たな仕組み(マンション内住み替え、金銭的補償や融資等)、そして実行のための支援体制の強化が必要です。

2 コミュニティ再生マネジメント

 居住者の永住意識の高さと、それによる高齢化の促進が益々深刻になります。築年数の経ったマンションが「二つの老い」を迎えるのは当然ではありません。若い世代に魅力となるマンションでないからです。多世代交流促進マンションとする、コミュニティを再生するマネジメント活動が必要です。

3 マネジメントプロデューサーの育成

 前者の二つの課題は、現在の管理の支援体制の域も枠組みも越えています。その時そのマンションに合った適正な管理方法に誘導し、資産価値の維持向上を総合的にプロデュースする、マネジメントの担い手が求められています。

4 初期管理方法適正化と地域の支援体制の構築

 初期の管理方法の設定は、その後の管理に大きな影響を及ぼします。ゆえに、初期設定の管理の適正化の推進をより強化する体制が必要です。その実行の鍵は地方自治体です。国レベルの全体像の把握とともに現場に即した地域事情を踏まえた地方自治体レベル施策が益々重要になってきます。

5 マンションを取り巻く環境整備

 マンション管理の質が適正に市場で評価されるための仕組みや、マンションの集会所等を利用した高齢者向け・子育て世代向けのサービス提供・地域の非常時災害時の拠点づくり等、マンションが地域の核にとなりつつ、市場のメカニズムを活用して、より安全で安心な居住の場となる仕組み整備が必要です。

 

2014年9月29日 | カテゴリー マンション総合調査