建物・設備の維持管理に関する相談から/マン管通信2018・3 - NPO法人岡山県マンション管理組合連合会

建物・設備の維持管理に関する相談から/マン管通信2018・3

Q 旧耐震基準のマンションに住んでおり耐震改修を検討したいのですが、一部の組合員から、「耐震診断を

 行って基準に満たさないことが明らかになれば、マンションの資産価値が下がる。」と耐震診断することに

 も反対の声が出ています。どのように合意形成を図っていけばよいでしょうか。

A 旧耐震基準のマンションは、震度6弱程度以上の地震に対しては倒壊等の危険性、言い換えれば人命の危

 険性があるということです。国土交通省が公表している阪神・淡路大震災による建築物等に係る被害では、

 ①死者数の大部分が建築物等の倒壊が原因、②旧耐震基準の建物に被害が集中していることが分かります。

 平成28年6月に宅地建物取引業法の一部が改正され、平成30年4月以降、中古住宅の売買契約時の重要

 事項説明の一環として、新耐震基準への適合性を証明する書類等の有無を記載した書面が交付されるように

 なります。すなわち、旧耐震基準のマンションで耐震診断や耐震改修をしていなければ、中古住宅の購入予

 定者に「新耐震基準への適合性を証明する書類が無いこと」を書面で伝えらることになります。

 今後は、旧耐震基準のマンションでは、中古住宅購入者の新耐震基準への適合性について関心が高まること

 が予想されます。

(参考)<新旧耐震基準の目標>

・旧耐震基準

稀(数十年に一度程度)に発生する中規模の地震(震度5強程度)に対して、建物が倒壊しない。

・新耐震基準

極めて稀(数百年に一度程度)に発生する大規模な地震(震度6強から7程度)に対して、建物が

(人命に危害を及ぼすような)倒壊等の被害を生じない。

(著)技術部長 本庄 博之

2018年6月07日 | カテゴリー 相談事例から